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経緯と感想」を簡単に述べさせていただきます。
今度の文部省からの感謝状贈呈に関連して、私どもが最初に連絡を受けたのは9月2日頃、郡司副会長からの連絡が最初で,「文部省で、秋田大学から申請したお二方への感謝状贈呈が検討されている。第1号、第2号ということで最初でもあるので、全国の献体者の代表として、文部大臣から直接ご遺族に贈呈されることになると思う。そうなった場合の必要な準備を一応考えておいてほしい」ということであったと思います。
次で、翌日、再び連絡があり、「文部省では、9月17日を予定しているようだ。急いで準備をしてほしい。」ということでしたが、相前後して、同様趣旨のことが文部省から、大学本部を経て私たちに伝えられてきました。当初、私どもは、9月8日に慰霊祭を行う予定をし、その会場で御遺族に遺骨の返還と感謝状の伝達を行なう予定で、それに間に合うように、お二方の文部省への申請を急いで行いました。9月8日には間に合いませんでしたが、全連の予想より早い時期に贈呈式が行なわれるようになったようです。いずれにしましても、非常に忙しく事が運びましたが、無事9月17日に感謝状贈呈式を迎え、御遺族も大変感激し、喜んでおられ、臨席しました私たちも非常に嬉しくよかったと思っています。私どもとしましても、故人への感謝は勿論ですが、献体に際しての御遺族の並々ならぬご協力に対する私たちの感謝の気持ちの一端を,この機会に多少なりとも表すことが出来たのを喜んでいます。
これとは別に、献体登録された方々へのいわれない中傷や、献体に対する偏見や誤解は、決して少なくないと思います。今度の文部大臣の感謝状の贈呈は、行政の最高責任者が、公式に「献体」という行為への高い評価を、形を以って示されたという点に非常に大きな意義があると思います。今後、献体運動が正しく理解され発展する上での非常に力強い支えを得たように、この紙面を借り、大変お世話になった日本解剖学会および篤体解剖全国連合会の方々に厚く御礼申し上げます。
(篤志献体第21号より)

 

献体法特集

昭和58年5月25日、法律第56号として公布された、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」は、昭和58年11月25日施行されることになった。この法律制定までの経緯は本誌前号にくわしいが、このほど、本法制定の推進役を果された、自由民主党文教部会、献体法制定小委員会、竹内黎一先生に深い謝意を捧げたい。

 

医学及び歯学の教育のための献体に関する法律について(解説)

 

献体推進議員連盟副会長
衆議院議員 竹内 黎一

 

問1 
本法制定の意義は、どのようなところにあるのでしょうか。献体運動が進められていくうえで、この法律にはどのような役割りが期待されているのでしょうか。
また、強制力を伴わない精神立法では法の実効性が期待できないのではないか、との声も聞きますが如何でしょうか。

 

答:
今回の立法の意義は、まず献体について法制上規定を整え、これを明確にすることによって、献体という行為をいわば社会的・法制的に認知しようとするところにあるといえましょう。現実の問題として、医・歯学教育における人体解剖学の実習用解剖体の収集が困難な状況にあることは否めませんが、今回の立法はその解決のための即効薬としての役割りを担うものではなく、献体という行為、そしてそのよってたつところの精神を汎く国民の間に普及し、その理解を求めようとするものです。
献体運動と本法の役割りの点については、献体者の方の立場からしますと、法律の条文の有る無しがその献体の意志の決定を左右することは少ないものと思われますが、ご家族の同意や周囲の方の理解を得るうえでは、やはり実定法としての条文の存在が重要な支えとなることと思われます。また、汎く国民に献体について理解を深めて頂こうと、運動を進める立場からしましても、法律の存在は、価値の多様化の指摘される現代にあって、個々人の人生観、宗教感

 

 

 

 

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